令和6年度入学式 式辞

式 辞

 名峰利尻富士の頂は未だ雪に覆われておりますが、麓の雪の白は徐々に緑に変わり始め、確実にここ利尻島にも、春の訪れを感じることのできる本日、

 利尻富士町長 田村 祥三 様

 利尻町長   上遠野 浩志 様

 をはじめ、多数の御来賓、並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、令和6年度北海道利尻高等学校入学式を挙行できますことを、厚くお礼申し上げます。

 ただいま、入学を許可しました普通科16名、の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。整然かつ堂々と入場し、凜として呼名に応えるその姿に、本校生としての自覚と、これからの高校生活を充実させようという決意が伝わってきました。「ようこそ利尻高校へ」今日から利高生です。私たち教職員一同、みなさんを心から歓迎いたします。また、保護者の皆様には、お子様の晴れ姿に喜びもひとしおと拝察いたします。あらためてお祝いを申し上げますとともに、本校へお子様をおあずけいただきましたこと、心より感謝申し上げます。

 さて、新入生のみなさん、今から、新しい生活が始まります。真剣に自分自身と向き合い、ほかの何者でもない自分をつくりあげていくことになります。そのスタートにあたって、意識して欲しいこと、大切にして欲しいことを2つ、お話しします。

 1つ目は「自律」です。

 「自律」というのは、自分の自に、法律の律と書きます。中学校の道徳の授業でも出てきますので、覚えている人もいるでしょう。「主として自分自身に関すること」の領域の初段に、「自律の精神を重んじ」から始まる見出しがあります。高校では、これを3年かけて確立・定着させていきます。では、改めてその意味を確認すると、これまで学び得てきた知識や経験に基づく価値や信条など、内的要素に関して、他者から支配を受けず、自分自身で規範を打ち立てた言動がとれることを言います。つまり高校生としては、自らの学びに目標を設定し、その学びへの価値や意義を見いだせること、またそういうひとを指します。

 2つ目に「協働」です。

 「協働」というのは、協力の協に働くと書きます。協働とは、同じ目的・目標のために協力して働くことを言います。高校生にとっては、自分とは異なる考え方にも触れながら、同じ目標のもと、同じクラスの生徒だけでなく、先輩、地域の方々、専門家など、幅広い世代の人々と対話を重ねながら、学びつながるひとつのものをつくりあげる、またひとつのこと成し遂げる経験そのものを言います。

 この2つの考えは、個と全体のどちらも同時に尊重し、どちらも思いやる、利他的・向社会的な共存に発展すると考えられます。それはすなわち、日本教育の方向性を示す教育振興基本計画、の柱である「ウェルビーイング」身体的、精神的そして社会的に良い状態、生涯にわたる持続的な幸福を目指すものであります。

 個としての「自律」、全体としての「協働」を、本校のあらゆる教育活動の通奏低音として、日常的な共通認識、行動規範となっていくよう、繰り返し求めていきます。そして、本校職員一同が、良き学びのサポーターとして、全力で支援していきますので、どうか安心して「自律」と「協働」のチャレンジ、学び、気付き、世界観・価値観の広がりを味わってください。

 結びになります。保護者の皆様、冒頭に「お子様をおあずけいただき感謝申し上げます」とご挨拶しました。3年後に本校不易の校訓である「醇風剛健」に叶う、豊かな心を持って逞しく成長し、地域・地元に貢献できる若者としてお返しできるよう、信頼される学校づくりに邁進していく所存です。是非とも本校の教育活動に対し、ご理解、ご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。新入生のみなさんが、本日、この喜びとそれぞれの志を忘れることなく、充実した高校生活を送ることを祈念し、式辞といたします。

 令和6年4月8日

北海道利尻高等学校長 小林 洋介